エルム街の悪夢(2010年版)
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s t o r y
高校生のディーン(ケラン・ラッツ)は、夜な夜な見る悪夢にうなされていた。
その夢とは、フェドーラ帽にボーダーシャツ、顔は焼けただれ手には鉄の爪を装着した謎の怪人が自分に襲いかかるというもの。
そしてついにディーンは、同級生のナンシー(ルーニー・マーラ)がアルバイトしているレストランで、恋人のクリス(ケイティ・キャシディ)の目の前で「夢が現実になる」と言い残し、首をかき切って死んでしまう。
悲しみにくれるクリスだが、数日後、彼女の夢の中にもその怪人が現れるのだった。。。
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20世紀を代表する名作ホラーのリメイク版です。
殺人鬼フレディ・クルーガーは、『13日の金曜日』のジェイソンと双璧をなすほどの有名キャラクター。実はオリジナル版をしっかり観たことがなかったので、シリーズは全くの初見。自然と期待値も上がって、いざブルーレイで観始めたのですが。
正直今ひとつでした。
まずフレディ誕生のいきさつで、大幅な減点です。
夢の世界に君臨するフレディですが、なぜそんな力を持つに至ったのかが語られないので、個人的に大変スッキリしないのです。
幼稚園の用務員をしていたフレディは、幼児に対し危害を加えていたらしいのですが、これが性的なものなのか暴力的なものなのか、ハッキリさせません。
まぁどちらにしても、幼児の親にバレて追い詰められたフレディは廃墟に逃げ込み、(このシーンも周りがゴーストタウンのような景色で、どこまでが本当の話でどこからが夢の中の話なのかがわかりにくい!!)そこに火をつけられる・・・・というのが概略ですが、せいぜい顔が焼けただれてる理由がわかるくらいで、結局そこで絶命したのかどうかもわかりません。また、彼の象徴でもある鉄の爪をなぜ装着しているのか(なぜ凶器に爪を選んだのか)も判明しません。
例えば、殺人鬼の魂が人形に宿る名作ホラー『チャイルド・プレイ』なんかは確かに奇抜な設定ではありますが、逃亡中の殺人鬼が玩具屋に逃げ、そこでブードゥー教だか黒魔術だかを使って人形に魂を乗り移る(記憶曖昧です)というシーン(経緯)がきちんと描かれていて、ホラー映画ながら作りに丁寧さを感じ好感が持てます。
観る側に、少しでも「何でもアリ感」を持たせないような配慮(工夫)が感じられるのです。
そう、思うにこの「何でもアリ感」って、映画を見る上ではとってもクセモノです。
特にホラー映画の殺人鬼やモンスターは、そりゃある意味非日常的で反則的な部分だって多々あってもしょうがないでしょう。ただ、だからといって「何でもアリ」にしてしまったら、観る側との一体感は生まれずまぁ、映画だからね・・・・と距離を開けられてしまうのは必至です。
映画=作り物ながら、いかに映画と感じさせずに入り込ませ、主人公とハラハラドキドキを共有させられるかが、良い映画のポイントだと思うのです。
オリジナル版がどうなのかはわかりませんが、少なくともこの2010年リメイク版では、ただの変態ロリコン親父にすぎないフレディが、一体なぜ夢の世界を支配できる超常的な力を得られたのか。そこが語られないことは、大いに不満を感じざるをえません。(幼児の親たちへのただの逆ギレだったら、ちょっとヒドイ)
そのせいでか、ホラーとしての新鮮さも薄いかな、と。
単純なスプラッターものとして扱うほど犠牲者は多くないし、かといって、前述の通り殺人犯の謎解き要素も抜けが多いため、逆に中途半端な感じが浮き彫りになってしまいます。結果としてそんなに怖くもないし、話にどっぷり入り込むこともできない。
オリジナル版のおかげでフレディのキャラクターが立ち過ぎているので、そこそこの流血量と最新の映像技術を用いれば多少の迫力は出るでしょうが、所詮は見せかけだけの話です。残念な感じは否めません。
(『エルム街の悪夢』ってもっと怖くて、もっともっとストーリーがしっかりと練られているのかと期待していたんですが)
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原題: A Nightmare on Elm Street
監督: サミュエル・ベイヤー / 製作: マイケル・ベイ、他
公開: 2010年(日本) / 上映時間: 95分
製作: アメリカ(2010)
キーワード:ホラー、スプラッタ、グロい、フレディ・クルーガー、悪夢、寝たらヤバイ、殺人鬼
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